伝統構法「木組み」で家を建てるまで!メリットと職人の技術
皆さま、こんにちは。
無垢の木と自然素材を豊富に使った、職人のていねいな手刻みによる「キグミノイエ」の広報担当の七瀬です。
以前のブログでは、キグミノイエが伝統構法「木組み」をなぜ扱うのか、を歴史や技術を踏まえてご紹介しました。
皆さま、こんにちは。無垢の木と自然素材を豊富に使った、職人のていねいな手刻みによる「キグミノイエ」広報担当の木村です。 昨年は、キグミノイエのやらない約束で外壁や内装に使用する素材、使用しない素材などをご紹介しました。 今回は、キグミノイエがブランド名にもなっている伝統構法「木組み」になぜこ...
キグミノイエが「木組み」であること、そして「手づくり」であることにこだわる理由。
それは「木」が本来持つ良さを最大限に引き出すためです。「木」が持つさまざまな魅力をお施主さまにお届けするために、キグミノイエは、伝統構法「木組み」を扱うことを大切にしています。
今回のブログでは以前のブログに引き続き、
「木組み」のメリットやデメリット、職人について、そしてキグミノイエが建てられるまで、をご説明したいと思います。
木組みのメリットとデメリット
メリット
・昔ながらの木造住宅の、自然な趣きがある
伝統構法「木組み」には、人工的な機械加工では到底あらわせない、自然で味のある趣きがあります。古都の町並みに感じる情緒が、木組みの家にもあるのです。
日本の家づくりの歴史と知恵が集約された「木組み」と、職人の丁寧な手仕事によって、味わい深い自然な趣きを生み出しているのです。
・梁や柱をあえて見せることで生まれるシンプルな美しさ
いわゆる普通の住宅では、架構は隠してしまうことが多いです。これを大壁づくりと呼びます。金物を使うことで、継ぎ接ぎのように見えてしまい見栄えがあまり良くないこともあるのでしょう。
しかし、金物をできる限り使わない「木組み」であれば、あえて見せることで、より一層の美しさが生まれます。真壁づくりと呼ばれています。余計な梁はなくして、材料を減らし、コストも見栄えもシンプルで洗練されたものとしています。太い柱や梁に支えられた空間の力強さには圧倒されますね。
・金物を使わないので耐久性に優れる
木と木と繋ぐのに、金物はできる限り使いません。
金物はサビたり、そこから劣化したりと、意外にもデメリットが多いのです。
木を組み合わせることで生まれる確かな耐久性が、木組みの家にはあります。
・木のしなやかな強さによる耐震性
「木組み」は木と木を互いに支えるようにして組み合わせています。そのため、大きな揺れに襲われても、支え合う木がその力を受け流すようにして揺れに耐えることができるのです。木の特性のひとつである粘り強さを存分に活かすことができ、ゆえに「木組み」ならではの、力を受けて流す、柳に風のような耐震性が発揮されます。
・職人技が光るていねいな手仕事
こうして一つひとつ、丁寧に木材を刻んでいきます。
長い年月、木と向き合ってきた職人だからこそ、木のクセを読み、どう扱うのがベストなのかがわかるのです。
デメリット
・手仕事ゆえに時間がかかる
「木組み」では、職人が木のクセを一つずつ読み、手刻みをします。
木は一様ではなく、それぞれ形もクセも異なります。それらを読むことで、一つひとつの木を適材適所へ使うことができます。職人が木と向き合い、対話をしてクセを読み取る。その上で、丁寧な手仕事をするので、どうしても時間がかかってしまうのです。
・素材にこだわるので安くはない
まず使用するのは「無垢の木」です。それから、自然素材の断熱材や壁材。これらの素材を存分に活かすには職人の技術も必要となってきます。「良質な素材」に加えて、その良さを最大限に引き出せる職人の施工となるので、コストを抑えた他の住宅に比べると安くはありません。
ただ、キグミノイエでは、自社に製材工場を設けているので、木材費が大きく抑えられます。そのため、適正価格で自然素材の木組みの家づくりが可能となるのです。
・腕の良い職人が減ってきている
職人の高齢化や、技術の継承問題によって、腕の良い職人がどこも不足している現状があります。そのため、職人のスケジュール待ちの時間が発生することが時折みられるようになりました。
その背景には、プレカット加工の台頭があります。大工技術の継承には20年は必要と言われます。プレカット加工が増えたことで、自ずと職人が育つ場が減り、腕の良い職人不足に繋がってしまったのです。
家づくりは大工職人選びが重要!職人不足って本当?
家づくりでは大工職人選びはとても重要です。
家づくりを安心して任せられる、信頼できる職人にお願いすることが理想的です。
しかし近年、プレカット加工や新建材など工業製品の組み立てによる、簡略化された家づくりが大半を占め、それによって良い手仕事ができる職人が減ってしまいました。
今では住宅は、組み立てるだけの簡単な施工となり、自分の手で加工することがほとんどなくなりました。経験を積み、腕を磨く環境が少なくなり、それに伴って腕の良い職人も減ってしまったのです。
これは日本の家づくりが、質より量を求めた結果なのです。素材や性能には目を瞑り、安く、早くを求めてきてしまったがゆえ、技術伝承の機会が減り、職人が不足するようになってしまいました。今ではどこでも、腕の良い職人は引っ張りダコだ、といわれています。
伝統構法やその技術を未来へ継承していくには、その担い手である職人の存在が必要不可欠です。
そこでキグミノイエでは、伝統構法「木組み」を後世へ伝えていくため、大工職人の育成に尽力したいと考えています。
キグミノイエが掲げる目標のひとつとして、伝統構法と技術を守り、未来へ渡していくための大工育成事業では、職人が育つ環境を整え、待遇や働き方の改善を考えています。
大工職人を育成し、伝統構法とその技術を未来へと伝えていくことを目指して、今いる職人たちと手を取り協力し合いながら、伝統構法「木組み」の家づくりを通じて、職人が育つ場づくりに努めてまいります。
【動画】木組みの家ができるまで
腕の良い職人たちがどのようにして、
木組みの家をつくっているのか、動画でご紹介します。
軽井沢追分の家
建て方1日目
一階柱建てから小屋組〜屋根構面まで
家づくりは架構(骨組み)にも注目することが大切です。
キッチンやトイレなどの設備は後からでも変更できますが、架構はそうはいきません。そのため、じっくり検討する必要があります。
また、丈夫な架構が、家を長生きさせます。梁と柱の位置や数、材は適切なのか。そういった視点を持つことが大切です。
「木組みの家」では、生活しやすい間取りを見据えた上で、架構の丈夫さを併せ持つ、架構と間取りが合致する家づくりを目指しています。
間取りには架構の制約があるため、パズルのような設計はできませんが、この制約を守ることで耐震性や耐風性を兼ね備えることができます。
住まい手の安心して快適に暮らしたいという想いと、作り手の丈夫な家づくりをしたいという想い。どちらも叶えられる家、それが「木組みの家」なのです。
まとめ
それでは、今回のまとめです。
- 「木組み」のメリットは木の良さを最大限引き出すこと。その良さとは、木が本来持つ効能や香り、質感、強さと多岐にわたる
- デメリットは丁寧な手仕事ゆえに時間がかかってしまうこと。また、決して安くはないことや、職人が不足していることなどが挙げられる
- 職人選びは重要で、職人の不足問題には業界が解決へと導く必要がある
- 木組みができるまでを動画で紹介
伝統構法「木組み」は木の良さを最大限に引き出します。
長い歴史のなかで、培ってきた職人の技術や知恵を集約した構法が「木組み」です。
住宅は一生のなかで最も高い買い物、かもしれません。だからこそ、一つひとつのこだわりを大切にできたらと思います。
キグミノイエでは、お施主さまの理想の家づくりを丁寧にサポートいたします。
住宅に関するお困りごとや、ご相談などがありましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。